作曲家が見知らぬ土地に辿り着いた時、感じ取るさまざまな情報。日差しであり、空気の流れであり、匂いであり、それらが混じり合って音に昇華するとすれば、その色彩感に違いが生まれるのは当然でしょう。サン=サーンスが受動的に聞いていた音像とは違い、イベールの、精緻でありながら厚く強い流れを伴った色彩感は、あの華麗で典雅ながら少し透明さすら感じるラヴェルの作品をも凌駕する濃密ささえ感じます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジャック・イベール作曲 交響組曲『寄港地』より「ネフタ」「バレンシア」 指揮/佐藤道郎 演奏/倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団