イタリアの作曲家ロッシーニの流れを汲み、《フランスのロッシーニ》とまで言われた、快活で機智に富んだ華やかな響きの『ザンパ』序曲は、しっかりと音響設計された近代的なホールよりも、伝統的な箱型(shoe box type)の自然な響きが心地よいようです。
1883年に実施されたコンセルトヘボウ建築コンペでは、音楽ホールに関する特別な知識を持たないドルフ・ファン・ヘイト(Dolf van Gendt)のアイデアが採用されました。一階客席に全く傾斜がなく、ステージの高さは約2メートル。舞台の雛壇は50センチずつ上がっていく凄い角度がある為、客席からの死角は無し。指揮者は地下の控室からエレベーターで上がってきて、ステージ奥(二階バルコニーの高さ)から赤い絨毯の階段を駆け降りてくる、という世界でも類を見ない形状のホールから、世界屈指の素晴らしいサウンドが生まれる不思議。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フェルディナン・エロール作曲『ザンパ』序曲 指揮/中田昌樹 演奏/関西学院交響楽団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団