#55 異なる水の表現-ラヴェルの場合

クロード・ドビュッシー、モーリス・ラヴェルのふたり。「水」を描写した作品は枚挙に暇(いとま)がありませんが、その表現、描き方はまったく違った色彩感と視点の動きを感じます。

ラヴェルは、遺された写真のように、いつもきちんとネクタイをしてスーツを着ているのが日常であったであろうし、その作品の中でも古典的な形式感の中で縦横なハーモニーを展開しても、決して、その堅い鎧を脱ぎ捨てようとはしませんでした。付点音符を使うことさえ憚り、遠慮しているように思えるほど、音符の縦の線の間隔だけで、水の動きを表わす手法はどこまでも緻密なのです。

【出演】中田昌樹(指揮者)

【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『水の戯れ』 フランソワ=ジョエル・ティオリエ/ピアノ

イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行

【提供】笹川日仏財団

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