フェルディナン・エロール。フランスの作曲家としてはあまり馴染みのない名前です。しかし、ベルリオーズ、ビゼー、ドビュッシーなどフランスの名だたる作曲家たちが受賞した《ローマ大賞》を獲得、オペラも22曲作曲した俊英でしたが、惜しくも42歳の若さで世を去ります。現在演奏されるのは『ザンパ』序曲くらいになってしまいましたが、そこには短いながらも豊かな才能の片鱗を伺い知ることができます。 『ザンパ』(原題は『大理石の婚約者/Zampa ou La fiancée de marbre)は、海賊の頭領ザンパが既に婚約者がいる伯爵の美しい娘に横恋慕して結婚を迫るものの、ザンパの先妻の大理石の石像がそれを阻止して、理不尽な権力に仕返しをするという内容のオペラです。これは十九世紀初頭にフランスで流行した典型的な《救出オペラ》で、民衆の心を捉え、大成功したようです。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】フェルディナン・エロール作曲『ザンパ』序曲 指揮/中田昌樹 演奏/関西学院交響楽団
ジョキアーノ・ロッシーニ作曲『泥棒かささぎ』 指揮/クリスチアン・ベンダ 演奏/プラハ・シンフォニア管弦楽団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団