まだ18才のドビュッシーが、依頼された歌曲の伴奏を通しての、裕福な夫人との邂逅。「挑みかかるように、心の平静を乱す眼差しになる術を心得ていたその碧い目と、豊満な姿態」を持つヴァニエ夫人の虜にならぬ筈もなく、その関係は10年近くもの長きに渡ります。
その間、入り浸っていたヴァニエ家の書斎で読み耽った詩集や文学書に多大な影響を受け、やがてマラルメの主宰する詩人、作家など芸術家が集う「火曜会(les Mardis)」に、音楽家として唯一参加するようになります。
そこでの知識人との知遇から得た、未知の世界から『牧神の午後への前奏曲』をはじめとする作品群が生まれ、ドビュッシーの作風が確立されて行きます。
【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『夜想曲』第1曲「雲」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団・ライプツィヒMDR放送合唱団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団